キーワード表示、名誉棄損で訴えることはできるのか?
2021/12/01
基礎知識
自社の名前を検索した際に【〇〇株式会社 パワハラ】などとサジェストキーワードが表示され困っている人事や広報の担当者様は多いのではないでしょうか?
採用に影響がでたり、被害が大きい場合は会社の株価に影響でたりすることもあり企業にとっては大事なサジェストキーワードです。
実際にこのような表示がされた場合、損害賠償請求などはできるのでしょうか?
主なネガティブキーワード!
表示されやすいネガティブキーワードとして、下記のようなものがあげられます。
企業の評判や口コミなど
評判、口コミ、2ch、比較、宗教、最悪
→このようなキーワードが表示され実際にクリックすると悪評が記載されたサイトが表示されることがあります。
仕事内容・職場環境について
給与未払い、サービス残業、激務、過労死、自殺、リストラ、内定取り消し、残業、パワハラ、セクハラ、モラハラ
→採用活動を行っている方は企業の情報を事前に調べるはずです。その際にこれらのキーワードが表示されると応募するのを辞めようと考えるのではないでしょうか。
実際に起こった事件など
詐欺、横領、逮捕、サギ、悪徳、最悪、悪人、架空請求、被害、事件、問題点、被害者の会、裁判、訴訟、被告、告訴、書類送検、訴え、名誉毀損、家宅捜査
→起きてしまったことなので企業が信頼を取り戻すというのが1番ですが、何年も表示され続けているのは企業に悪影響を与えるのはわかりきったことです。
経営不安をあおるワード系
倒産、上場廃止、解散、債務超過、赤字、不振、借金、解約、債務整理、破産、解約
→株価の低下につながったり、株主に不信感を与える可能性がございます。
損害賠償請求はできるのか?
それでは、実際に【〇〇株式会社 パワハラ】と表示された場合、検索エンジン会社を名誉毀損で訴えることはできるのでしょうか?
業務上明らかに必要性のない行為を要求したり、暴言を吐いて人格を否定したりする行為がパワハラの定義です。パワハラ企業は過剰なノルマを課したり、大勢の社員がいる前で罵倒したりするなどです。
しかし、この検索エンジン内で表示されるパワハラ企業というキーワードだけでは、直接的には名誉毀損で訴えることは、難しいと考えられます。
名誉毀損とは、法律上『公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損』する行為(刑法230条1項)』を指しています。
今回のケースのように【パワハラ】というキーワード自体では、刑法で言われているように具体的に『事実を摘示』した行為と言えない為、名誉毀損として訴えた際に損害賠償請求をできる可能性は少ないでしょう。
犯人は見つけられるのか?
ネガティブなキーワードを非表示にさせることができるように、逆に表示をさせることも可能です。その為、ネガティブなキーワードが競合他社の思惑で表示されているケースも考えられます。
実際に、不自然に長いキーワードや「〇〇・評判悪い」という不自然な記号などは裏で操作をされている可能性があります。
これらの操作をした犯人を実際に特定することはできるのでしょうか。
実際に心当たりがある企業などに対して、嫌がらせでキーワードを表示したことを主張しても証明することは難しいく、やってないと言われたらそれまでです。
掲示板は個人の書き込み投稿者を特定することは可能なこともありますが、キーワードが表示されているのは、ユーザーの検索数などから機械的に表示されたものの為難しいと言えます。
また、「関連キーワード・予測検索キーワードは、Google ユーザーの間で、またインターネット全般においてよく使用されている検索キーワードをアルゴリズムによって反映させたもの。」という定義になっている為、検索エンジン側犯人特定にいたる情報を開示しません。自分たちのアルゴリズムを否定することになる為です。