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プロバイダ責任制限法とは?

2021/12/27

基礎知識

プロバイダ責任制限法とは?

日本の法律の中には様々な法律があり、その一つにプロバイダ責任制限法があります。

普段あまり耳にすることがない、プロバイダ責任制限法についてまとめました!

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律

いきなり「???」となるタイトルで、これだけ漢字が続くと読むことすら諦めてしまいそうですね。

電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律

この長い名前の法律の略称が「プロバイダ責任制限法」です。

つまり、ネット上の誹謗中傷が起きた際に、プロバイダの賠償責任に制限を設けること+発信者情報を開示することを目的とした法律が「プロバイダ責任制限法」なのです。

以下の章では①プロバイダの賠償責任に制限を設けること②発信者情報を開示することの二点について詳しく解説していきます!

そもそも”プロバイダ”って何?

それぞれに注目する前、繰り返し登場している「プロバイダ」とは何なのでしょうか。
まずは、プロバイダの説明から始めたいと思います。

インターネットサービスプロバイダ

これがプロバイダの正式名称です。日本語に直すと「電気通信事業者」や、「インターネット接続事業者」となります。

分かりやすく例えると、

回線事業者を「Apple社」、プロバイダを「携帯ショップ」と考えます。

このとき、Apple社(回線業者)が販売しているiPhoneの端末(ネット回線)だけを持っていても、インターネットは使えません。しかし、携帯ショップ(プロバイダ)でインターネット利用契約することで、インターネットが利用できるようになります。

私たちはプロバイダと契約することではじめて、インターネットを利用することができます。

そしてプロバイダ責任制限法は、このプロバイダに発生する賠償責任を免責する効果があります。

①プロバイダの賠償責任に制限を設けること

上記で、プロバイダとは、不特定の人が(文字や画像、音声、動画などを)受信できるよう、システムを提供する者であることを説明しました。

しかしこのプロバイダは、インターネット上でトラブルが起きると大きな責任を負うリスクもあります。

例えば、インターネットの掲示板に自分の悪口と思われる書き込みを発見したAさんがいるとします。そしてその書き込みをした人をBさんとします。

プロバイダはAさんから、「あなたが提供している設備(掲示板システム、サーバー等)で私の悪口が書かれたことによって名誉が毀損されたので損害賠償を払ってくれ!」と責任追及される可能性もあります。

また逆に、Aさんの申し出でその書き込みを削除したことで、Bさんから、「人の書き込みを勝手に削除するなんて、表現の自由の侵害だ!賠償請求で訴えてやる!」というリスクも孕んでいます。

こうなると、プロバイダは、書き込みをした人とされた人との板ばさみになり、どちらかの肩を持ってしまうと、損害賠償責任を負うはめになってしまいます。

そこで、間に挟まれたプロバイダが、一定の要件を満たせば責任を免れることができますよ、という決め事を法律にしたのが、「プロバイダ責任制限法」です。

一定の要件を満たして初めて責任を免れることができるので、免責ではなく、制限という言葉が使われています。

プロバイダが満たすべき一定の要件とは?

プロバイダ責任制限法の3条1項には次のような規定があります。

「他人の権利を侵害した情報が不特定の者に送信されることを防止することが技術的に可能で、且つ、他人の権利が侵害されていることを知っていたときや、知ることができたときでなければプロバイダは損害賠償の責任を負わない」

これはつまり、
①他人の権利が侵害されていることを知っていたとき、または、②他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき以外は、賠償責任を負わないということです。

また、3条2項では書き込みをした側(発信者側)への要件についても規定があります。

「その情報の流通によって他人の権利が侵害されたと信じるだけの相当の理由があったのでその情報を削除した場合や、権利を侵害されたとする者から削除の申し出があったことを発信者に連絡したのに7日以内に反論がないのでその情報を削除した場合は、プロバイダは発信者に対して損害賠償の責任を負わない」

これは、①流通したネット上の情報が名誉毀損やプライバシー侵害等の人の権利を害することが明確でないときに削除してしまった場合や、②発信者に反論の機会も与えずに削除した場合には、発信者に対してプロバイダが責任を負うということになります。

②発信者情報を開示すること

続いて、発信者情報を開示すること、です。

発信者情報の開示とは、書き込みした人の個人情報を書き込みされた人に伝えること、です。

かなりシンプルですが、書き込みをされた人を守るための法律でもあるので、非常に重要な項目です。

被害者がプロバイダに対し開示請求を行った場合、被害者はプロバイダから発信者のIPアドレス等の個人情報を知ることができ、
発信者へ損害賠償や慰謝料の請求が可能になります。

まとめ

プロバイダ責任制限法によって、ネット上の誹謗中傷によって権利を侵害された人もプロバイダに発信者情報開示請求などの手続きが取りやすくなりました。

また、プロバイダ側もこの法律によって送信防止措置による損害賠償の免責基準などが明確になることで、より自主的な規制が取りやすくなった一面もあるようです。

しかしその一方で、投稿の削除(送信防止措置)や発信者情報開示はプロバイダ側に決定権があるため、必ずしも希望通りの措置を取ってもらえるとは限らないという問題点は残っています。

弁護士の対応で解決する場合もあります

プロバイダが希望通りの措置を講じてくれないとき、弁護士に依頼して手続きを行う、「仮処分」という手続きを取ることで解決する可能性があります。

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